国王陛下の独占愛

   「誰だ!」


 セヴェリがそう鋭く言い、トゥーレが持っていた剣に手をかける。

 カーテンの向こうから現れたのはニクラスだった。


   「ごめんなさい兄上、さっき僕が入ってきたとき、兄上は着替えを
    されていて気がつかれなくって......それで.....あの、ソリが
    ベルススにいるのですか?」


 ニクラスの問いにセヴェリは眉をひそめた。


   「聞いていたのか」

   「はい」

   「ソリがベルススにいることは、誰にも話すな」

   「わかりました、でも、なぜソリがベルススにいるんです」

   「お前が知らなくてもよいことだ」

   「兄上は......ソリに会うべきです」

   「黙れ」


 そうセヴェリは言ったが、ニクラスは引き下がらなかった。


   「兄上はソリに会ってきてください、砦には僕がむかいます。
    兄上は遅れてきてもだいじょうぶです」

   
         *
         *
         *
         *



 次の日、マントを深くかぶったニクラスがセヴェリのかわりに馬車に
 乗り込むのを見送って、セヴェリはトゥーレとともに町にむかった。

 ソリの泊まった宿屋では、もうソリは宿をでたあとで、二人は馬車の乗合所に
 向かった。

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