国王陛下の独占愛

 ソリは目の前に人が立ったことに気づいて、ふせていた顔をおこした。

 そして、ありえない人の姿に目を見張った。


   「陛下......」


 なぜ、陛下がここに? そう思うが言葉が続かない。

 言葉を失って、ただセヴェリを見つめるソリの横にセヴェリは腰掛けた。


   「私がここに来たのは......」


 静かな声でセヴェリが話はじめる。


   「言い忘れたことがあったからだ」


 そう言って、セヴェリはソリを見つめた。


   「私が今よりも強い王になって、もうだれもソリを傷つけることが
    なくなったら、そうしたら......迎えに行く。
    待っていてくれるか」


 勝手なことを言って城を離れると言ったから、セヴェリは怒っているのだと
 ソリは思っていた。

 だから会ってくれないのだと。

 でも、今ソリを見つめるセヴェリの目は、切なくソリの答えを請うている。


   「はい、いつまでもお待ちしています」


 ソリはそっと手を伸ばし、セヴェリの頬に触れた。

 何時になるか、実現するかもわからない約束。

 でも、今のソリには十分だった。
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