国王陛下の独占愛
頬にふれているソリの手をセヴェリが上からそっとにぎり、口許にもって
いく。
そして指先に唇でふれた。
「いつか、私がソリを理解し側にいると言ったのを覚えているか」
「はい、でも陛下はすぐに冗談だと......」
「それが本心だとしたら」
「陛下......」
乗合所はたくさんの人が出入りしざわついていたが、ソリにはもう
周りの音も景色も目に入らなかった。
時が止まってしまったかのように、二人はお互いを見つめる。
ふれあっていた指先をからめ、セヴェリはソリの手をつよく握った。
「国王とは不便なものだ、好きになった女一人側にはおけぬ。
もし私が国王ではなく、ただの男だったら、ソリ、
そなたは私を受けいれてくれたか」
胸がふるえる。
喜びと愛しさで胸がいっぱいになり、ソリの目に涙が浮かんだ。
「はい、ただ一人、生涯を愛しぬく、ただ一人の人として」
セヴェリの手がソリの頬にかかり、柔らかく重ね合わされた唇の愛しさに、
ソリの頬を涙が一雫こぼれおちた。