国王陛下の独占愛
(13)
今回の件の事後処理に追われながら、セヴェリは一つの確信を
胸に抱いていた。
今、セヴェリは一冊の書物を手に、東の回廊の壁にかかる、一つの
絵の前に立っていた。
その絵には、60年前、蛮国ガスタロの侵攻を防いだ時の様子が
描かれている。
その絵の中で、白い狼とともに描かれている術師の姿を、セヴェリは
先ほどからじっと見つめ続けていた。
その絵の中の術師の姿と瞳の色を確認し、手に持っている60年前のことを
詳しく記した書物にもう一度目を通すと、セヴェリは側に控えていた
トゥーレに短く告げた。
「すぐ、ベルススへ向かう」
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ベルススに着いたセヴェリを出迎えたのは、セヴェリの乳母を長く務めた
ミルバ夫人だ。
セヴェリの顔を見て、ミルバは言った。
「気付かれたんですね」
その言葉を聞いてセヴェリは、今日ここにやってきたことは
間違いではなかったと思った。