国王陛下の独占愛

   「クルト殿とソリはどこに?」


 そう問うたセヴェリをミルバは屋敷の二階の一室へと案内した。




 日のよく入る部屋のベッドにクルトは横になっていた。

 傍らにはソリが立っている。

 その部屋に一歩足を踏み入れ、セヴェリは深くクルトにむかって
 礼をした。

 そしてベッドに近づくと言った。


   「あなただったのですね、60年前のことも今回のことも。
    クルト......いえ、クルトゥーム様」


 クルトゥーム、それはガスタロのから祖国を守った術師の名前。

 彼は長い間、行方しれずだった。

 それがソリの祖父、クルトだったとは......。


   「今回、ムスカの砦を守れたのも、あなたの力があったからだ
    と思っています。」


 そうセヴェリが言うと、クルトは微かに微笑んだ。


   「私......では、ない」


 そう言い、クルトは傍らの立つソリを見る。

 セヴェリは驚きで目を見開いた。


   「ソリ......」

   「私一人の力ではありません。お祖父様の力添えがあったから」


 そう言って、ソリはやわらかく微笑んだ。


   「陛下がご無事でようございました」

   「ああ、私は無事だ、そして約束通り、ソリを迎えに来た。
    もうソリを狙うものはいない」

   「陛下」
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