国王陛下の独占愛
部屋の中に薬草の独特の匂いが満ちてくる。
その匂いを感じながら、セヴェリは傍で薬湯をカップに注いで
いるソリに声をかけた。
「今晩のお茶はまた特別に良い香りだな」
「はい、寝つきをよくし、眠りを深くするお茶です」
ソリの答えを聞いたセヴェリはぴくりと眉をうごかすと
問い返した。
「寝つきを良くするだと?」
「はい」
セヴェリの表情を気にしながら、ソリが返事を返す。
少し考え込んだセヴェリがまた口をひらいた。
「そういえば、パルヴォが、一刻も早く世継ぎの誕生をと
言っていたな、そのために必要なお茶があればと......」
きょとんとした顔をしたソリに向かって、セヴェリが意地悪く微笑む。
「だが、そのお茶を私だけが飲んでも駄目だろうな。
王妃も飲まなければ、どうだ、ソリ」
セヴェリの言うことがわかって、ソリは俯いた。
そんなソリの近づき、セヴェリはソリの顎に手をかけ、くっとソリの
顔を仰向けさせると、キスができるほど近くまで顔を寄せてささやいた。
「どうだ?と聞いている、わが王妃殿」