国王陛下の独占愛
「どうした?憶えておらぬのか?」
目の前のソリが動揺し、あちこちに瞳を彷徨わすのを
セヴェリは楽しげに見やった。
あの時の借りを今返すのも悪くない。
「深酒をして、人に迷惑をかけて、自分の身体もこわすのかと
私を叱ったのだぞ。」
ソリが顔を強張らせて、きゅっと唇を噛んだのを見て、セヴェリは
ゆっくりと微笑んだ。
「私を叱り、そして......身体を癒すお茶を淹れてくれた」
「あぁ、あの時の!」
突然、ソリの横で大声で女将が叫び、主人のルカにパチンと頭をはじかれた。
ソリもまた思い出していた。
明け方の早い時間にふらりとあらわれた客のことを。
ソリの顔つきが変わったのを見て、セヴェリはさらに笑みを深めると
「思い出したようだな」
と言った。
「はい」
あの客が、国王だったとは.......。