国王陛下の独占愛
そんな中でも、少しも動揺することなく、ソリは答えた。
「しかし、祖父は高齢でもあり、病人でもあります。
狭い城の一室で暮らすなど......」
「そ、それなら、館をひとつあてがおう。それならば
文句はあるまい。」
「陛下!」
またパルヴォが非難の声をあげた。
ソリは答えない。
セヴェリは焦った。
ここで断られては、王としての面目がたたない。
「祖父は学者だと言ったな、城の図書室には、国中の学者が
涙を流さんばかりの、貴重な書物がたくさんあるぞ。
城に来れば、それらを閲覧することも可能だ」
硬い顔でうつむいていたソリが顔をおこし、まっすぐにセヴェリを見た。
この娘の瞳は、なんと曇りがないのだろうとセヴェリは思う。
「一生とは言わん、お前が出来るまででよいのだ」
「わかりました、陛下のお話をお受けします」
静かにきっぱりと、ソリはそう告げた。