国王陛下の独占愛
(3)
城に来たソリにあてがわれたのは、城の近くに建つ小さな家だった。
何代か前の王が、自分のことを長く面倒をみた、年老いた乳母のために建てた
というその家は、質素でこじんまりとしていた。
ソリはすぐにこの家が気に入った。
庭もある。
シルバーを放して飼うには、ちょうどよかった。
たくさんでなければ、庭で薬草を育てることもできるだろう。
城に勤めるようになったとはいえ、ソリの生活は静かなものだ。
明け方近くには起き、国王の朝食用にパルカを焼く。
最初は城のりっぱな厨房で焼いていたが、オーブンが立派すぎるのと
他の料理人の迷惑になりそうな気がして、すぐに家の小さな台所で
焼くようになった。
焼いたペルカを城に届けて、祖父と二人分の朝食を準備する。
朝食がすむころに城に呼ばれ、パルカを食べ終えた国王セヴェリから
お褒めの言葉をいただく。
その時に、今日の体調などについてセヴェリと話し、家に戻って
必要な薬草を準備したり、城の大きな図書室から借りてきた本を
祖父のために読んだりする。
次に、城に呼ばれるのは午後だ。
数種類の薬草と、小さな炉と煮出し用の器などを持って国王をたずねる。
朝の問診で決めていた薬草も、その時の国王の様子を見て、取り替えるように
していた。
だから、国王の前で炉に火をつけ、薬草を煮出す。
その間、国王セヴェリと他愛のない話しを交わした。