国王陛下の独占愛

   「今日のお茶には、どんな薬草を使っている?」

   「集中力を高める効果のあるものです。この後も役官たちとの
    合議だと聞きましたから。」

   「あぁ、そうだ。だが、私だけがそのお茶を飲んでも駄目だろうな。」


 そう言って、セヴェリが片頬をゆがめて笑う。


   「領相(役官の中の最高位)をはじめ、役官たちは私の話しに
    集中などしない。
    のらりくらりと躱して、私の追求を避ける。
    領相たちが裏で不法なことをして、私腹をこやしていること
    はわかっているが、尻尾はつかませない。」


 少し口をとがらして、拗ねたようにそう言うセヴェリを見て、ソリは
 少し微笑むと言った。


   「では次に時は、集中力が持続するようなお茶にしましょう、
    のらりくらりと躱されても、陛下の集中力が途切れないように。
    根気よく聞き出していれば、いつか誰かが口をすべらすものです。
    雨だれが石を穿つように、焦らず、少しづつ......」

   「私の辛抱が足りないというのか」


 セヴェリの言葉に、今度ははっきりと微笑んで、ソリはセヴェリを見つめた。


   「いえ、そうではありません。
    そういう人たちの相手をするには、より辛抱が大事だと申した
    だけです。
    そして、それを助けるお茶を煎れるのが、私の仕事です。」
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