国王陛下の独占愛

 庭で育て始めた薬草の様子を見ていたソリは滅多なことでは
 吠えないシルバーが、ウォン、ウォンと二回吠えたのを聞いて
 顔をおこした。

 顔をおこした先に、庭の入り口にたつ少年が見えた。

 柔らかそうな金髪に、上等な身なりをした少年はおずおずと


   「その犬はあなたのものなの?」


 と聞いてきた。


   「はい、そうです。」

   「そう...... ここはあなたの家?」

   「私の家ではありませんが、ここに住まわせてもらっています」


 そう言って、ソリが柔らかく笑いかけると、安心したのか、
 少年が庭に入ってきた。

 少年は、おずおずとシルバーに近づくと、そっとその頭を撫でた。

 賢いシルバーはおとなしくしている。


   「なんて綺麗な銀色の毛並みだろう、あまり見たことのない犬だ。」

   「シルバーは狼の血を引いてるって言われているんです。」


 ソリがそう答えると、少年は感心したように頷きながら、
 もう一度、シルバーの頭を撫でた。

 痩せていて、少年特有の勢いのない子だとソリは思った。

 どこか、身体の具合でもよくないのだろうか。


   「どこからいらしたのですか?」


 そりがそう聞くと、少年は気恥ずかしそうに笑う。


   「あの......僕は......国王陛下の弟で、二クラスと言います。」
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