国王陛下の独占愛
「王弟殿下でございましたか、存じ上げずすみません」
ソリが謝り、作法に則って礼をすると、ニクラスは慌てたように
手を振った。
「知らないのは当たり前です、僕は身体が弱くてあまり表には
でないから」
「そうですか......」
ニクラスの言葉を聞いたソリは、良いことを思いついたというように
にっこりとした。
「どうですか、お茶を一杯召し上がりませんか」
*
*
*
*
ソリが煎れた薬草茶をニクラスは美味しいといって飲み、なんだか
力が湧いてくるような気がしますと言った。
お茶を飲みながら、ソリとニクラスはいろんな話をした。
特に、国王セヴェリのことになると、ニクラスは目を輝かせ、
自慢の兄なのだと言った。
「兄上は優しいんです、それに強い」
ニクラスはそう言ったが、ソリは違うことを考えていた。
セヴェリ国王はどちらかというとシニカルだ。
それに強く見せているが、脆さも秘めている。
時間がきたので、午後のお茶を淹れに国王陛下のもとに行かねばならない
とソリが告げると、自分も城へ帰るからとニクラスも立ち上がった。