国王陛下の独占愛
ソリとニクラスが揃って城にあがってくるのを、セヴェリは窓から
見ていた。
時間がきて、ソリを待たせている部屋に入ると、セヴェリは声をかけた。
「ニクラス......弟と一緒だったのか」
薬草を煎じる準備をしながら、ソリが答える。
「はい、迷って私が住んでいる家の近くまで来てしまったと
話されていました。」
「そうか」
身体の弱い王弟のニクラス......12才も年の離れた弟だが、血は半分しか
繋がっていない。
セヴェリの母はとうの昔に亡くなり、前王が随分たってから娶った
若い王妃がニクラスの母親だ。
ニクラスの母親のアミラ妃を思い浮かべて、セヴォリは微かに眉を
ひそめた。
まだ若く、美しいアミラ妃。
彼女がセヴェリを息子として愛してくれるのなら、問題はないのだが。
「私のお出ししたお茶を美味しいといって召し上がれて、是非今度は
母上にも、お茶を出して差し上げてほしいと仰られていました。」
煎じる薬草の匂いとともに聞こえてきた、ソリの言葉に、セヴェリは今度は
はっきりと眉をしかめた。
「ニクラス様はお身体が丈夫でないようですし、
時間をいただければ......」
「いや、いい」
ソリの言葉を途中で遮って、セヴェリが短く言う。