国王陛下の独占愛

 ソリとニクラスが揃って城にあがってくるのを、セヴェリは窓から
 見ていた。

 時間がきて、ソリを待たせている部屋に入ると、セヴェリは声をかけた。


   「ニクラス......弟と一緒だったのか」


 薬草を煎じる準備をしながら、ソリが答える。


   「はい、迷って私が住んでいる家の近くまで来てしまったと
    話されていました。」

   「そうか」


 身体の弱い王弟のニクラス......12才も年の離れた弟だが、血は半分しか
 繋がっていない。

 セヴェリの母はとうの昔に亡くなり、前王が随分たってから娶った
 若い王妃がニクラスの母親だ。

 ニクラスの母親のアミラ妃を思い浮かべて、セヴォリは微かに眉を
 ひそめた。

 まだ若く、美しいアミラ妃。

 彼女がセヴェリを息子として愛してくれるのなら、問題はないのだが。


   「私のお出ししたお茶を美味しいといって召し上がれて、是非今度は
    母上にも、お茶を出して差し上げてほしいと仰られていました。」


 煎じる薬草の匂いとともに聞こえてきた、ソリの言葉に、セヴェリは今度は
 はっきりと眉をしかめた。


   「ニクラス様はお身体が丈夫でないようですし、
    時間をいただければ......」

   「いや、いい」


 ソリの言葉を途中で遮って、セヴェリが短く言う。
< 24 / 125 >

この作品をシェア

pagetop