国王陛下の独占愛

 午後のお茶の時間にそなえて、足早に城へ向かうソリは
 新鮮な空気を胸いっぱいに吸い込みながら考えた。

 今日のお茶には、氣を込めてみよう。

 祖父が言ったように、今日の大気はよく整っている。

        *
        *
        *
        *


 そのお茶を一口飲んだセヴェリはなにか大きな流れが、自分の中に
 流れ込んだよう感じた。


   「今日のお茶はいつもと違うな」

   「わかりますか?」


 ソリはセヴェリが、敏感に気の流れを感じ取ったことに驚いた。

 セヴェリの手を取り、脈を確かめる。

 力強い拍が、ソリの指に伝わった。

 ソリは満足して微笑んだ。


   「とても良い状態です、短期間のうちにこんなに身体が
    整うとは」

   「やはり器が違うのだ」


 いつもの尊大な様子でセヴェリがそういうのを聞いて、ソリはこっそりと
 苦笑した。


   「陛下が私の話をよく聞いて、生活を改められたのも大きいと
    思います。お酒もあまり召し上がれていないのでしょう」

   「だが、酒を飲む楽しみもまた、捨てがたいものだ」

   「少しならかまいません、以前のように深酒をするのでなければ」

   「そうだな......」
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