国王陛下の独占愛

 セヴェリは最初に会った時、ソリに説教をくらったことを思い出した。

 そして今、自分はおとなしくソリの言うことを聞いて、ソリの言う通りに
 している。

 母親の言うことを聞く、聞き分けの良い子供のように。

 それで身体の調子が良いのだから、それで良いはずだ。

 だが、セヴェリはなぜか面白くないと感じた。

 気がつけば、まったく何もかもがソリの言う通りではないか。

 持ち前の年端のいかぬ子供のような利かん気が、むくむくとセヴェリの
 心の中に湧き上がる。


   「だが、酒を止められたことで、寝つきが悪くなった」


 本当は、寝つきは悪くないが、セヴェリはさも困ったという風に
 そう言うと、わざとらしくため息をついてみせた。


   「寝つき悪いのですか?」

   「そうだ、酒が睡眠薬代わりだったからな」


 セヴェリの言葉を聞いて、ソリは考え込んだ。


   「お酒に頼るのは良くないと思います。寝つきを良くする
    お茶を飲まれた方が......」
   「そうか、それならそうしよう」


 ソリの言葉をみなまで聞かず、セヴェリは早口で言う。


   「これからは夜も来てお茶を煎れるのだ、寝つきが悪くなったのは
    そなたが酒を止めたせいだからな。
    早速、今晩からだ。」

< 29 / 125 >

この作品をシェア

pagetop