国王陛下の独占愛

 それを見たら、セヴェリは急に空腹をおぼえた。

 昨晩も酒を飲むばかりで、まともに食べていない。



   「朝食を頼めるか?」



 そう聞くと、娘が無言でうなずいた。

 すると、横から女将の大きな声がした。



   「あんた、朝食を食べていくなら、ソリの焼いたペルカを
    食べて行きなよ」

   「ペルカ?」

   「あんた、ペルカを知らないのかい? 薬草や香草を練り込んだ
    薄いパンのことさ
    ソリの焼くペルカは絶品なんだ。」



 そう言って女将が目の前の娘をみる。

 どうやら、目の前の娘が、ソリという名で、ペルカ焼きの名人らしい。



   「じゃあ、それを頼む」



 セヴェがそういうと、また無言で娘がうなずき、厨房のほうへと歩いていった


 
 

 
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