国王陛下の独占愛
「国王陛下がお待ちです」
案内の者にそう言われ、もうすっかり夜の闇が辺りを覆いつくしている中を
ソリは城に向かう。
いつもの部屋に向かうと思っていたのに、案内の者は城内の奥へと
ソリを導いていく。
着いたところは国王セヴェリの寝室だった。
戸惑いながら部屋に入ったソリを、夜着に着替え、ガウンを羽織っただけの
セヴェリが出迎える。
ソリを案内してきた者はすぐに部屋を出ていき、部屋の中には
ソリとセヴェリだけになった。
「どうした、突っ立っていないで、お茶の準備をしたらどうだ」
「寝る前ですので時間がないと思い、煎じたものをお持ちしました
カップにお注ぎしてもよろしいですか?」
セヴェリの眉がピクリと動く。
ソリは慌てて目を逸らした。
セヴェリが眉をピクリと動かす時は、なにか気に入らない時だと
ソリはこの2ヶ月のうちに学んでいた。
「なんだ、煎じる道具を持ってきていないのか」
「いえ、持ってきていないわけではありません」
「では、いつものようにここでお茶を煎れるのだ」
「しかし、時間がかかりますが」
しかし、セヴェリはソファに座ると、傍にあった本を手に取り
言った。
「心配ない、本でも読んで待っている」