国王陛下の独占愛

   「いったいどういう娘なのだ、それは」

   「3ヶ月ほど前、陛下が視察に出かけた折に連れ帰られた娘です。
    薬師としての技にすぐれているということで、なんでも陛下に
    お茶を煎じてお出ししているとか」


 侍女の話を聞きながら、アミラ妃は、最近息子のニクラスが話していた
 薬師のことを思い出した。

 たしか、城の近くの王室所有の一軒家に住んでいるという娘。

 ニクラスも是非一度、その娘の煎じたお茶をお飲みくださいと言っていたか。


   「ふむ、面白い。一度その娘に会ってみよう。
    すぐその者をここへ」

   「はい」
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