国王陛下の独占愛

 前国王の王妃であった私の命令に従わない......

 顔を強張らせ、アミラ妃は再び尋ねる。


   「なぜ、できないと言うのだ」


 声の調子で、アミラ妃の機嫌を損ねたことを、ソリは悟ったが
 落ち着いた声で答えた。


   「陛下が自分のためにだけお茶を煎れろと仰いました。
    ですから、できません」


 そう言って、ソリはしっかりとした視線でアミラ妃を見た。

 その視線のまっすぐさにアミラ妃はしばし言葉を失い、ただじっと
 ソリの顔を見つめる。

 地味な娘だと思っていたのに、この目の輝きは......

 だがそう思ったことは、すぐに不快感にかわった。


   「なんと、無知な子供のようなことを言う」


 アミラ妃は侮蔑の表情をうかべると、薄く笑った。


   「黙っていればすむことだ。」


 確かにそうだ。

 だが、ソリはそれがひどくセヴェリを裏切ることのように
 感じた。

 もう一度断ろうと、ソリが口を開きかけたとき、部屋の戸が開いて
 誰かが、部屋の中に駆け込んできた。


   「母上! ソリをお呼びになったと聞きましたよ!」


 駆け込んできたのはニクラスだった。
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