国王陛下の独占愛
すぐに薬草や、小さな炉を整え、ソリはお茶を煎れるために
再びアミラ妃の部屋を訪れた。
アミラ妃とニクラスは、部屋から庭のテラスのテーブルへと移動していた。
二人の前で、炉に火を起こし、お湯を沸かし 、薬草を煎じる。
辺りに甘く鼻腔をくすぐる薬草の匂いが漂った。
アミラ妃は、じっとソリを見ていた。
薬草を選ぶ確かな目。
落ち着いた所作。
そして漂ってくる薬草の匂いを嗅ぎ、先ほどのソリの眼差しを思い出して
セヴェリが、なぜこの娘を側に置くかが、アミラはわかったような気がした。
そして無性に腹が立った。
このお茶を飲んではいけない。
このお茶を飲めば負けだ。
そう思ったアミラ妃は、なみなみとお茶を注いだカップをソリが目の前に
置こうとした時、乱暴にそのカップを押しやった。
中に入っていたお茶が溢れ、ソリの手にかかる。
「あっ!」
ソリが声をあげたが、アミラ妃はかまわなかった。
「きみの悪いお茶だ。そんな濁ったものが飲めるわけがない!」
アミラ妃がそう叫んだとき、テラスから続く庭の陰から声がした。