国王陛下の独占愛
(6)
アミラ妃がソリの噂を聞いたのと同じ頃、領相のザクラスもまた
ソリのことを耳にした。
薬師として、王の寝室にまで招き入れられる娘......。
「人の話では、なかなかに美しい娘だそうですぞ」
民相のヒュウルが、ニヤニヤ笑いながらそう言うと、民相補佐のボナスが
ヒュウルに追従するように
「王もなかなかすみにおけませんな」
と言って、やはり下卑た笑いをもらした。
「今まで女っ気がなかったが、これで少しは女に溺れて
政治をおろそかにでもしてくれれば、良いのですがな」
ヒュウルがそうザクラスに話しかけたがザクラスはそんな話など
聞いていなかった。
あの人を寄せ付けない王が、信用をおいている娘......、薬師......。
「その娘を使って、王に毒を盛ることができたらどうだ」
ザクラスの言葉に騒がしかったその場が、ぴたりと静かになる。
「ど、毒ですか」
「そうだ、毒殺するようなものではない、徐々に身体を衰えさせる
ような毒だ。王として役にたたなくなってもらえばいいのだからな
前国王のように」
そう言って、ザクラスはにやりと笑った。