国王陛下の独占愛
その夜、呼ばれたソリは、いつもとは違うところに案内された。
着いたところは、国王の執務室。
案内の者がドアをノックすると、”入れ”とセヴェリの声がした。
扉を開けて入ると、まだ、王の格好のままのセヴェリが、熱心に
机上の書類に目を通している。
「来たか、今日は仕事が片付かず、お茶の時間はやめようか
と思ったが、少し頭が痛くてな。お茶を飲んだほうがよさそうだ
気にせず、ここでお茶を煎れてくれ」
「はい」
返事をかえし、ソリはお茶を煎じる準備をはじめる。
「頭痛を和らげる薬草をつかいましょう」
「そうしてくれ」
セヴェリの返事を聞きながら、薄紙に包まれた薬草をとりだす。
ソリの手が、かごの底に忍ばせた、銀の包みにふれた。
セヴェリは書類を読むのに集中している。
そのことを横目で見ながら、ソリは静かにお湯をかき回した。