国王陛下の独占愛

 城の西門をでて坂を下り、家の前まで戻ってきたソリは
 ほっと息をはいた。

 木戸を開け、急ぎ足で庭を突っ切ろうとしたソリは、木戸の横の
 木の陰から覆面をした男があらわれたのに気づいて、はっとした。


   「薬はのませたか?」


 くぐもった声で男が聞く。


   「はい」


 ソリの返事に男は満足そうに頷いた。


   「では言った通りに薬を飲ませ続けろ」


 そう言って、男は新しい包みを何個か取り出す。


   「急に容体が悪くなって疑われても困るからな、徐々にだ」


 包みをソリの手に握らせ、男はもう一度、強い声で言った。


   「いいか、お前の命も、お前の祖父の命も、いつでも奪うことが
    できるのだということを忘れるな」
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