国王陛下の独占愛
(7)
執務室のソファに座るセヴェリの前にお茶の入ったカップが
コトリと置かれる。
そのカップを冷めた目でちらりと見ると、セヴェリはカップを置いた
人物に視線をむけ言った。
「ソリが王都の市場へ薬草を仕入れに出かけて、今日は来れない
ことはわかった。で、これは何だ?」
「お茶でございます」
カップを置いたパルヴォが、満面の笑みを浮かべながら答えた。
「そうだな、確かに」
「ソリがお茶を煎れ始める前までは、こうして私がいつも
お茶をいれておりました。
ソリが来てからというもの、陛下はほとんど毎日ソリに
お茶をいれさせて......。
休みもなく城に通ってくるソリに、今日は一日王都でゆっくり
してくるようにと言ってやりました」
素っ気ないセヴェリの態度にパルヴォが少々不満げな顔をしてそう言った。
パルヴォめ、余計なことを言いおって、とセヴェリは内心舌打ちをする。
だが、すぐにセヴェリは考え込んだ。
確かに城に連れて来てからというもの、朝のパルカとお茶の両方で
毎日、ソリは城へ通ってくる。
休みなど取らせたことはなかった。
だからだろうか、最近、ソリに元気がないのは......。
「陛下、何をそのように考え込んでおられるのですか?
せっかくのお茶が冷めてしまいます。」
丸い顔をかたむけて、パルヴォがセヴェリの顔を覗き込むようにしているのに
気づいて、セヴェリはじっとパルヴォの顔を見た。