国王陛下の独占愛
姿は見えないが、小窓の向こうからは、ひどくしわがれた声がした。
「二人なら、130ペイソだよ」
セヴェリが懐から出した巾着からお金を払うのを見て、ソリは慌てた。
「自分で払います」
「いや、いい」
短くそう言い、セヴェリはソリをつれて、建物の中へ入った。
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建物の中は本当に大きな納屋のように、下はむき出しの地面だった。
そして、その地面の真ん中を丸く開けて、囲うように板を打ち付けた柵が
ぐるりと丸く取り巻いている。
そしてその柵の周りに、何人もの男たちが(少しは女や子供らしき者も
いたが)取り巻いている。
「ここは、何をするところですか?」
「ここは、闘鶏場だ、時々たちの悪いやつらが牛耳っているときが
あるから、トゥーレに下見に行かせた。
今日は大丈夫のようだ」
周りの男たちは、中には貴族らしい格好の者もいるが、大半が労働者
の格好をしている荒くれた男たちだ。
唾を飛ばして大声でしゃべり、中には酒ビンを抱えているものもいる。
どこが大丈夫なんだろうとソリは思ったが、横で目を輝かせている
セヴェリを見ると、何も言えなくなった。
変わった人だソリは思う。
一国を統べる国王なのに、こんなところにいて喜んでいる。