国王陛下の独占愛



   「どちらが勝つと思う?」


 とセヴェリが言った。


   「賭けるのですか」
 
   「当たり前だ、そうでなければ面白くない」


 そう言われて、ソリは前を向きなおると、かごの上にだされた二羽の鶏
 を見つめた。

 黒い鶏の方が、断然大きくて立派に見える。


   「黒い鶏のほうかしら」


 そうソリが呟いたのを聞いて、セヴェリはニヤリと笑うと


   「私は赤茶の方だな」


 と言った。


   「でも、黒い方が大きいです、赤茶の方は身体に傷もついていますし」


 ソリがそう言うと、セヴェリが笑う。


   「騙されたと思って、赤茶の方に賭けてみろ」
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