国王陛下の独占愛

 セヴェリの言葉に笑いは引っ込んで、ソリは目を見開いて
 セヴェリを見た。

 この人は、私の様子を気にかけて、それで今日こんなところへ
 ひっぱってきたのだとソリは思った。

 そう思ったら、胸の内になにかあたたかいものが満ちてきて
 頬に熱が集まるのをソリは感じた。


   「私は陛下の薬師ですのに、逆に陛下に心配をかけるようでは、
    いけませんね」


 ソリがそう言うと、セヴェリがくすっと笑う。


   「そうだな、王の心身を整えるための薬師に元気がないようでは
    先が思いやられる。
    今日は夜のお茶はいいから、ゆっくり買い物をして夜は休め」

   「はい」

   「西の市場にもついていってやりたいが、もう城に戻らねばならん」


 話をするソリとセヴェリの方へトゥーレが歩いてくるのが見えた。

 ソリは、寂しさをおぼえた。

 やってきたトゥーレに軽く頷き、トゥーレとともに歩き出したセヴェリの
 背中を見ながら、ソリは胸の底で脈打ち始めた、今までに味わったことのない
 感情とセヴェリに対して抱いている秘密とを思い出して、
 きゅっと唇を噛んだ。
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