国王陛下の独占愛
(8)
合議の場の円卓につく者の顔を眺めわたし、セヴェリは片頬を歪めた
笑いを浮かべ言った。
「それで、テヨリ河の補修のために送った石材と木材が
現地に届いていないのは何故か」
口許は笑っているが、目は鋭く、一人一人の顔を見ている。
誰もが、その視線から逃れるように下を向いていた。
その中でも、工相は、肩をすくめ縮こまっている。
国内の大掛かりな工事は工相の管轄だからだ。
そんな工相を見やると、セヴェリはますます片頬を歪めた。
「追加の請求がきたのが3週間前、追加にしては量が多いとは
思ったが、すぐに手配するように命じたはずだ。
それが未だにとは?」
セヴェリの視線を浴びて、工相はますます肩をすくめながら、おずおずと
言った。
「私は確かにご命令通りにしました、荷がついていないとすれば
それを運んだ業者があやしいかと......」
「その業者を監督するのが、役官の仕事ではないか、それに
荷がついていないという知らせは五日も前にきている。
それが今の今まで、私の耳に入っていないのはどういうことか」
だんだん荒くなるセヴェリの声を押しとどめるように領相が口をひらく
「工相はもうすでに次の荷を送る手配をしました。
今大切なのは、なぜ荷がついていないかを追求することではなく
1日でも早く、荷が無事に現場につくようにすることでは
ありませんかな
そうしないと、冬がはじまる前にテヨリ河の工事が終わりません。
冬が始まれば、河の水がこおり、テヨリ河は......」
「わかっている!」
セヴェリは領相のザクラスを睨みつけた。