国王陛下の独占愛
だが、ザクラスは平然とした顔で前を見ている。
「度々こういうことが起こるのは何故だ?」
セヴェリが低く唸るような声で、領相に問う。
領相は顔色ひとつ変えず、前を向いたままで言った。
「怠け者の業者のせいですな」
「そんなに我が国の民は怠け者か」
「奴らはつねに強欲です。テヨリ河の荷が無事に着いたら
強欲な奴らに厳しい処罰をあたえましょう、国王に威信にかけて」
セヴェリはきゅっと眉を寄せた。
強欲なのは誰だかわかっている。
だがセヴェリが厳しく追求すれば、罪のない者を罪人にしたてあげて
みせるだけだろう。
セヴェリは深く息をはくと言った。
「わかった、まずは荷がきちんと着くようにしろ、
後のことはそれから考える」