国王陛下の独占愛
領相のザクラスは、合議の間を出て、自分の執務室に戻ると
従者に声をかけて、一人の男を呼んだ。
すぐに、王城に勤めるもののよく着る服を着た、目つきの鋭い
男が部屋にやってくる。
その者の顔を見、領相は尋ねた。
「例の計画は進んでいるか」
「はい」
「それにしては陛下は元気だ。
いったいいつごろから効果があらわれるのか?」
「薬師の娘の話だと、陛下は最近よく頭痛を訴えられるとか
薬が効き始めているのだと思います」
男の言葉に領相は頷き、あご髭をなでる。
あの小賢しい若造をはやく黙らせたい......。
ザクラスは想像した。
青ざめた顔をしたセヴェリ。
覇気がなく、王の椅子にもたれるように座るセヴェリ。
虚ろな目で自分を見ることしかできないセヴェリ。
もう、少しの辛抱だ。
そうザクラスは自分に言い聞かせた。