国王陛下の独占愛

 しばらくソリの手をなめていたシルバーが、ピクリと耳を動かすと
 顔をあげた。

 そして身体の向きを変え、祖父クルトの部屋の方へ歩き出す。

 そして数歩歩くと、シルバーはソリを振り返った。


   「わかったわ、お祖父様が呼んでいるのね」




 ベッドに横になったクルトは、ソリと同じ、薄い藤色の瞳で孫娘を見つめた。


   「ソリ......何を......悩んでいる......のか......話してごらん」


 祖父の言葉に、ソリは静かに目を伏せた。

       *
       *
       *
       *


 語り終えたソリを静かに見やると、クルトは言った。


   「”眼”の魔術を......」

   「”眼”ですか」


 ”眼”の魔術とは、ある特定の人物の気を捉え、
 その者の見ているものを同じように見ることができる術だ。


   「相手について......知ることがふえれば......手を打つ方法も......わかる」


 クルトの言葉にソリは頷いた。
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