国王陛下の独占愛

 それからソリは覆面の男と会ったあと、クルトの力をかりながら
 男の気を追った。

 暗くした部屋のテーブルに蝋燭を2本だけ灯し、その間に鏡を置く。

 一度ではうまくいかなかった。

 だが二度目の夜。

 その夜は月が隠れて、男が残していく気の後が辿りやすかった。

 足早に城内に戻っていく男の見ているものが鏡に浮かび上がる。

 鏡にうつる像は、不鮮明だったり消えかかったりするが、ソリはなんとか
 自分の呼気をたかめて、男の後を追った。

 男は紫色の房飾りのついた階段を登っていく。

 そしてある部屋の前までくると、扉をノックしその部屋に入った。

 男は誰かに会おうとしている。

 その人物が、男に命令を与えている人物のような気がソリはした。

 男が向き合う人物の高級そうな靴の靴先が見えた。

 その人物はこちらを振り返り、歩み寄ってくる。

 だが鏡の中の像が乱れ、姿がはっきりとはわからない。

 ソリは焦った。

 鏡の中の人物を見極めようと焦ったソリは力を走らせすぎた。

 途端に、パン!と高くなにか弾けるような音がして、ソリが覗き込んでいた
 鏡がパリンと割れた。

< 66 / 125 >

この作品をシェア

pagetop