国王陛下の独占愛
それからソリは覆面の男と会ったあと、クルトの力をかりながら
男の気を追った。
暗くした部屋のテーブルに蝋燭を2本だけ灯し、その間に鏡を置く。
一度ではうまくいかなかった。
だが二度目の夜。
その夜は月が隠れて、男が残していく気の後が辿りやすかった。
足早に城内に戻っていく男の見ているものが鏡に浮かび上がる。
鏡にうつる像は、不鮮明だったり消えかかったりするが、ソリはなんとか
自分の呼気をたかめて、男の後を追った。
男は紫色の房飾りのついた階段を登っていく。
そしてある部屋の前までくると、扉をノックしその部屋に入った。
男は誰かに会おうとしている。
その人物が、男に命令を与えている人物のような気がソリはした。
男が向き合う人物の高級そうな靴の靴先が見えた。
その人物はこちらを振り返り、歩み寄ってくる。
だが鏡の中の像が乱れ、姿がはっきりとはわからない。
ソリは焦った。
鏡の中の人物を見極めようと焦ったソリは力を走らせすぎた。
途端に、パン!と高くなにか弾けるような音がして、ソリが覗き込んでいた
鏡がパリンと割れた。