国王陛下の独占愛

 次の日、ソリは痛む頭と重い体をなんとか動かして、パルカを
 城に届け、国王の体調をみるために、城にあがった。


   「どうした、顔色が悪いようだが」


 出会った途端そうセヴェリに言われ、ソリは顔をふせる。


   「大丈夫です」


 そうソリは答えたが、セヴェリは眉をひそめた。

 とても大丈夫のようには見えない。


   「午後は近衛隊の視察があるから、今日の午後のお茶はいい。
    夜また来るように、いや、体調がすぐれないなら
    夜のお茶もなしでかまわない」

       *
       *
       *
       *


 その頃、城下の自分の屋敷には帰らず、城内に泊まった領相の
 ザクラスは、自分の執務室に向かう準備をすすめながら、昨晩からずっと
 心に引っかかっていることを思い返していた。

 例のことをすすめさせている男に会った時、一瞬だが誰かの視線を
 感じた。

 すぐに部屋の戸をあけて調べたが、誰もいなかった。

 だがあの時、たしかに誰かに見られていると感じたのだ。

 その視線はあの男のすぐ後ろから、自分をしっかりと見つめていた。

 考えすぎかと思うが、胸のざわめきがおさまらない。

 ザクラスは従者をよぶと言った。


   「執務に入るのは後にする。
    南の辻占い師のところにいく馬車を用意させろ」
< 67 / 125 >

この作品をシェア

pagetop