国王陛下の独占愛
次の日、ソリは痛む頭と重い体をなんとか動かして、パルカを
城に届け、国王の体調をみるために、城にあがった。
「どうした、顔色が悪いようだが」
出会った途端そうセヴェリに言われ、ソリは顔をふせる。
「大丈夫です」
そうソリは答えたが、セヴェリは眉をひそめた。
とても大丈夫のようには見えない。
「午後は近衛隊の視察があるから、今日の午後のお茶はいい。
夜また来るように、いや、体調がすぐれないなら
夜のお茶もなしでかまわない」
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その頃、城下の自分の屋敷には帰らず、城内に泊まった領相の
ザクラスは、自分の執務室に向かう準備をすすめながら、昨晩からずっと
心に引っかかっていることを思い返していた。
例のことをすすめさせている男に会った時、一瞬だが誰かの視線を
感じた。
すぐに部屋の戸をあけて調べたが、誰もいなかった。
だがあの時、たしかに誰かに見られていると感じたのだ。
その視線はあの男のすぐ後ろから、自分をしっかりと見つめていた。
考えすぎかと思うが、胸のざわめきがおさまらない。
ザクラスは従者をよぶと言った。
「執務に入るのは後にする。
南の辻占い師のところにいく馬車を用意させろ」