国王陛下の独占愛

   「それは、”眼” と呼ばれる魔術でございますな」


 ザクラスの話を聞き終えた占い師は、そう言った。


   「ある者の気を読み、後をたどり、その者の見たものを
    鏡なり、水晶玉なりに映し出します。
    離れたところにいながら、その場にいるように全てを見通します」


 占い師の言葉にザクラスは膝の上にのせた手を握りしめた。


   「おそらく昨晩会われた男の気を追ったきたのでしょう。
    一瞬のことと言われたので、術はすぐにとけたのでしょうな」


 だとしても相手は、あのことについて探ろうとしているのだ。

 魔術をつかって。

 あの薬師の娘にそのようなことができるのか、それとも別の人間がそうしたのか
 確かめねばならん。

 ザクラスはさらに強く、手を握りしめた。
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