国王陛下の独占愛
「魔術をつかって俺の後をつけたか?」
「......っ!」
ソリを押さえつけているのは、覆面の男だった。
男の言葉にソリは冷水を浴びたような気持ちになる。
なぜ、わかったのだろう。
言葉もなく動揺するソリを見て、男が言う。
「どうやらそうらしいな、では生かしてはおけん」
そう言って、男がナイフを振りかぶったとき、トゥーレが駆け寄り男の
腕をつかんだ。
そしてそのまま二人はもみ合いになり、ソリはそれを見ながらずりずりと
その場にしゃがみこんだ。
どうしよう......どうしたらいい。
逃げなければと思うが足がガクガクと震えて、立ち上がることができない。
そんなソリの近くでもみ合っていた二人が離れたかと思うと、ナイフが
ソリにむかって飛んできた。
すんでのところで、トゥーレの抜いた剣がナイフを弾き、ナイフは高く
はねあがって、壁にぶつかった。
その間に覆面の男は逃げ去っていた。