国王陛下の独占愛

 祖父の部屋の窓際に置いた椅子に座り、眠る祖父を見ながら
 ソリは押し寄せる不安に押しつぶされそうになっていた。

 どうして、術をつかったことがばれたのだろう。

 今度はいつ、どんな形で自分や祖父の命を狙ってくるだろうか。

 今はトゥーレが手配してくれた兵士が家の周りに立ち守っていてくれるが
 いつまでもそんなわけにはいくまい。

 ソリは組み合わせていた手をぎゅっと握りしめた。

 その時、扉のむこうが騒がしくなり、ソリは立ち上がった。

 部屋の扉があいて入ってきたのはセヴェリだった。

 その後にトゥーレも入ってくる。

 


 立ち上がり、驚いた顔で自分を見つめるソリをセヴェリは見た。

 青白い顔。

 多分、昨夜は一睡もせず、ずっと祖父のそばにいたのだろう。

 ソリは昨日会ったときのままだった。

 駆け寄って、抱きしめたいのをセヴェリは拳を握ってがまんした。


   「何か食べたのか」

   「いいえ」


 ソリの返事にセヴェリはトゥーレを見ると、食事の用意を言いつけた。

 はいと返事をして、トゥーレが部屋を出て行く。

 セヴェリはソリに近づき、腕をのばした。

 両腕で囲ってしまいたいのを堪え、片手でソリを引き寄せる。

 その途端に、ソリが堰を切ったように泣き出した。

 自分の服が濡れるのも構わず、セヴェリはそりの顔をそっと自分の胸に
 寄りかからせると言った。


   「ソリ、何があったか話してくれ」

 
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