国王陛下の独占愛
準備された朝食には手をつけれず、だされた熱いお茶を一口飲んだ
ソリは、今までのことを全てセヴェリに話した。
祖父の命とひきかえに、毒を盛るようにと言われたこと。
毒を使ったように見せかけて、ずっと使わずにいたこと。
祖父に言われ、魔術をつかって、相手を探ったこと。
「魔術が使えるのか」
「祖父から習いました。少しだけですが」
「その術で何を見た?」
「いつもやってくる覆面の男が誰かと会っていました。
誰かまではわかりません、あの時、もう少し上手く術をつかって
相手の顔が見れていれば......」
「王城の中で会っていたのだな」
「はい、そういえば、男は部屋を訪ねるのに紫の房飾りのついた
階段を登っていきました」
その言葉を聞いて、はっとした顔をしたトゥーレがセヴェリに言う。
「各役官達の部屋に行く階段です」
「そうだな」
短くセヴェリは答えたが、頭の中には様々な思いが渦巻いていた。
役官の誰かが首謀者なのか。
だとしたら、誰が。
国王の力を削ぎ落としたいと思っているものは。
「やはり、領相のザクラスか」
セヴェリの漏らした言葉にトゥーレが答える。
「だとしたらしっぽを捕まえるのはことです」
そうだ、彼がそうだとしたら、ソリとソリの祖父の身の安全にはより
慎重さが必要だ。
セヴェリは考え込んだ。