国王陛下の独占愛

 三日後には、クルトは王都から離れた北の土地、ベルススへ秘密の
 うちに移された。

 ベルススには、北の離宮で長くセヴェリの面倒をみた乳母が息子と
 ともに住んでいる。

 現在は国王であるセヴェリとその乳母を結びつけて考えるものは
 王城にはいない。

 シルバーもまた、クルトについていき、ソリには王城のセヴェリの
 居室の近くに部屋があたえられた。

 王城でも、セヴェリの住む東の棟に仕えるものは、セヴェリが王子で
 であったころから仕えている者ばかり。

 いくらザクラスに力があるとはいえ、ここに刺客を送り込む
 ことは難しいだろう。

 セヴェリは侍女を一人、ソリにつけた。

 ソリが必要ありませんと言ってもセヴェリはきかない。

 そのうえ、一日一回は、セヴェリ付きの侍従が、セヴェリからの
 贈り物をもって、ソリの部屋にあらわれる。

 花束だったり、本だったり、お菓子だったり。





 
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