国王陛下の独占愛
「ソリは強情だな、女性はみな美しいものを送られれば
嬉しいだろう」
「高価なものがいらないだけです」
「では、いったい何がいいのだ」
セヴェリの問いにしばし考え込んだソリは、ポツリと言った。
「では、便箋と封筒を......」
その言葉にセヴェリは虚をつかれたようにソリの顔をじっと見たが、
言葉の意味を理解すると、静かに首をふった。
「ベルススには簡単に人をやれない、クルト殿への手紙は
あきらめてくれ」
セヴェリの言葉にソリは視線を床におとすと、黙って頷いた。
ソリの煎れたお茶を飲みながら、今日のお茶はひどく苦く感じると
セヴェリは思った。
苦いのは味ではなく、セヴェリの心がそう感じているからだった。
ソリとクルトを引き離したのは、自分の我が儘だとセヴェリはわかっている。
ソリの心の痛みをまるで自分のことのように感じながらも、セヴェリはソリ
を手元におきたかった。
だがそのことが、新たな問題をセヴェリに突きつけることになった。