国王陛下の独占愛

   「私に何かあっても、ニクラスがいる」

   「それが、パルス様には我慢ならないのでしょう。
    それに今回は、陛下は后も選ばぬうちに側妃をもたれるのかと
    えらくご立腹でして......」

   「側妃だと? なんのことだ」

   「ソリ殿のことです。陛下が自分の居室近くにお迎えになられた
    ことが、要らぬ憶測を生んでいるのです」


 セヴェリは言葉につまった。

 ソリを側妃にと考えたことがないわけではないが、今回の件はそんな
 理由ではない。


   「ソリの身の安全を考えての処置だ、やましいことは
    一つもない」


 セヴェリは軽く咳払いをすると、きっぱりと言った。


   「しかし、外にはそのような事情はわからぬものです。
    それに、たしかに、一介の薬師の安全のために、国王の
    居室近くへ招くというのは、如何にも......」


 そう言いながら、意味深な目つきで、探るようにパルヴォはセヴェリを見る。


   「だから、それはソリが......ええい、うるさい!黙れ!」


 とうとう声を荒げたセヴェリにパルヴォは首をすくめた。
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