国王陛下の独占愛
(10)

 王城の庭で侍女のマーラに手伝ってもらいながら、薬草を干していた
 ソリは、セヴェリ付きの侍女の噂話を耳にした。


   「久しぶりの夜会で準備の人手が足りてないらしいわ」

   「そうね、前国王はアミラ様のためにも、よく夜会を開かれて
    いたけど、セヴェリ陛下は、そういうことに興味を示されないものね」

   「でも、今回の夜会は陛下のお后選びのためだそうよ」


 しゃべりながら遠ざかっていく侍女の話に薬草を干す手を止めてしまった
 ソリをマーラが訝しげに見る。


   「ソリ様?」


 声をかけられてソリははっとした。


   「ごめんなさい、もうあと少しで干し終わりますね」


 何事もなかったかのようにそうマーラに返事をしたが、ソリは胸の鼓動が
 早くなっているのを感じた。

 陛下のお后選び......。

 その言葉が頭のなかでぐるぐる回っている。

 当たり前だ。

 国王として、后を娶り、お世継ぎを持つ。

 王室のために必要な事。

 そう頭ではわかるのに、心がそれについていかない。

 胸が苦しくて、その場にしゃがみこんでしまいたい。


   「ソリ様、お加減が悪いようでしたら、ここは私がやっておきます。」


 マーラが再び、心配した顔で声をかけてきた。

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