国王陛下の独占愛
ザクラスの言葉にアミラ妃は、かっと怒りで顔を赤くさせた。
「そのようなこと、どうとでも見繕う事ができるではないか!
何をのんきなことを!」
アミラ妃の怒りに、ザクラスは顔をあげアミラ妃を見ると、
ゆっくりと微笑んでみせた。
「私が何もせず、のんきに事を見ているだけだとお思いですか」
ザクロスの言葉に、アミラ妃はじろりとザクラスを見る。
ザクラスが何を言い出すかわからず、アミラ妃はきゅと口を引き結んだ。
「私が王弟ニクラス様を国王にするために何の努力もしていないと?」
「どういうことです」
アミラ妃の問いにザクラスはニヤリと笑うと、密かに進めている計画について
アミラ妃に語って聞かせた。
話を聞くアミラ妃の顔が徐々に強張っていく。
「敵襲の混乱の中で、国王を討ち取るというのか』
「殺しはしません、怪我をさせるだけです。
ただ大切なのは、負傷した王を助けるのがニクラス様だと
いうことです。そして、北の隣国ダマルの侵攻を防いだのは
私の従兄弟のニガロの率いる兵達であり、そう命じたのが
アミラ様であるということです」
北の隣国ダマルとの境にあるムスカの砦に王が出向くという筋書きも
出来上がっているし、密かにダマルとも手を結んでいる。
あとは時を計るのみ。
「このことで、流れが我々の方にかわり、ニクラス様、アミラ様の
名が高まれば、陛下もアミラ様のことを無下にはできなること
でしょう」
ザクロスの言葉に、アミラ妃の険しかった表情がほぐれ、うっすらと
笑みが浮かんだ。