国王陛下の独占愛
セヴェリの部屋で薬草を煮立たせながら、ソリはセヴェリを見る。
セヴェリはいつものように、ソファに座って、本を読んでいる。
「どうした、随分、不躾に私を見るようになったな」
本に視線を向けたままで、突然セヴェリがそう言った。
「......。」
「どうした、なぜ返事をしない?」
「返事をする必要などないと思ったからです」
そう言いながら、ソリはセヴェリの前にお茶のカップを置いた。
カップを持ち上げ、一口、口をつけたセヴェリが慌ててカップを
口から離す。
「ひどく熱いぞ、なんだか最近やたらとお茶が熱くないか」
「そうですか?しばらく置いておけば冷めます」
ソリの言葉にセヴェリはカップをソーサーに戻し、しげしげと
ソリを見た。
「何を不貞腐れている?」
「不貞腐れてなどいません」
「そうか?何か気に入らないことでもあるのではないか」
セヴェリの問いにソリは黙り込んだ。
気に入らないこと.....なら、ある。
お后選びの夜会のことを、セヴェリが何も言わないのが気に入らない。
もちろん、国王がただの薬師であるソリに言う必要など、どこにもない。
そう頭では十分すぎるほどわかっているのに、ソリはなんだか胸の内が
もやもやとしてしかたがないのだった。。