国王陛下の独占愛

   「なんだ?その胸の内で暴れているものについて
    私に話してみろ」


 そう言って、セヴェリがソリを優しく見つめる。

 決して言うつもりなどなかったのに、ソリはぽつりと言葉を
 おとしていた。


   「お后選びの夜会が開かれるそうですね」

   「ああ」


 そっけないセヴェリの返事を聞いて、ソリはすぐに聞いたことを後悔した。

 ばかだわ、私......。

 いったいどんな答えを期待していたというのか。

 后など選ばないとでも言って欲しかったというのか。

 顔を強張らせて、黙り込んでしまったソリにセヴェリが問うた。


   「私の后選びに関心があるのか」

   「当たり前です。国民ならだれもが陛下がどんなお后様を選ばれるのか
    気になります」


 内心の動揺を隠して、ソリは答えた。


   「どんな后なら良いと思うのだ?」

   「それはもちろん、国民のことを考え、陛下の助けとなられる
    ような方です」

   「国民のことを考えるとは?」

   「国民のことを知り......」

   「貴族の娘が、国民の大半の平民の暮らしがどんなものか知る
    はずがなかろう。
    彼女たちが知っているのは、どうすればより魅力的に自分を
    飾れるかといったところだろうな。」
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