国王陛下の独占愛

 再び、質問をはじめたセヴェリにソリは答える。


   「はい......いつか、私のことを理解し、側にいてくれるような
    人があらわれましたら」

   「理解し、側にいる......」

   「はい」

   「では、私がお前を理解し、側にいると言ったら?」

   「えっ?」


 ソリは目を見開いて、セヴェリを見た。

 セヴェリはじっとソリを見つめている。

 そして、立ち上がると、テーブルの近くに立つソリの側まで
 きて、つっとソリに向かって手を伸ばした。

 セヴェリの手が、ソリの頬に触る。

 頬を撫でた指が、すっと下がって首筋に当てられるとともに、
 もう一方のセヴェリの手が、ソリの腰にまわされ、ぐっとソリを
 引き寄せる。

 あまりに近い距離にソリは、セヴェリから目を離し、うつむいた。

 胸がの鼓動が苦しいくらい、あばれている。

 離してください、そう言おうとしてソリはセヴェリを見た。

 だが、自分を見つめるセヴェリの眼差しを見た途端、ソリは何も
 言えなくなった。

 いつかのように、セヴェリの瞳は熱く何かをソリに伝えてくる。

 その熱の意味を知りたい。

 そして、その熱を受け止めたい。

 国王と薬師だということは、もうソリの頭には浮かばなかった。

 自分の中にも湧き上がる熱をセヴェリに伝えたかった。

 だが、そう思った瞬間、


   「冗談だ」


 聞こえてきた言葉にソリの心は凍りついたようになった。
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