国王陛下の独占愛

 熱は急速に冷めていく。

 一瞬でも、セヴェリの言葉を本気にした自分が恥ずかしくて
 ソリは顔を横向けると、セヴェリから逃げた。

 腰にまわっていた手は簡単に解かれた。

 セヴェリもまた、ソリから離れ、テーブルに置かれたカップをつかむと
 ごくごくと一気に飲み干す。

 そして、窓辺まで歩いていくと、窓の外を見ながら言った。


   「今日はもういい、帰って休め」


 セヴェリは窓の外を見ていたわけではなかった。

 ソリに背を向けながら、だが、窓に映るソリを見ていた。

 ソリはだまってお茶の道具を片付けると、静かに部屋を出て行く。

 部屋の戸が閉まったのを見て、セヴェリは深く息をはくと項垂れた。

 今、自分は何をし、何を言ったか......。

 胸の奥深くに沈めた本心が言わせた言葉だと、セヴェリは思う。

 そして、本心からの言葉を、”冗談だ”とすぐに否定しなければならない
 自分の立場を思った。

 長い間、セヴェリは暗い窓を見つめて立ち尽くした。

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