国王陛下の独占愛

 眩いばかりの光を弾くいくつものシャンデリアの下の大広間には
 着飾った人々が、笑い、さざめき、杯をかさね、ダンスを踊っている。

 その様子をセヴェリは、一段高いところにある玉座に座って冷めた目で
 眺めていた。

 今晩は、若い娘の出席者が多いせいか、場は特に華やいでいる。

 お后候補にされていない娘も着飾り、親とともに出席している。

 あわよくば、セヴェリの目に留まろうという魂胆だ。


   「陛下、そのように玉座に座ったままでは困ります」


 パルヴォがそっと玉座の後ろに来て言う。


   「何故だ?」

   「何故と聞かれますか、今晩は陛下のお后選びの夜会ですぞ
    せめて、后候補の方とダンスを」


 セヴェリは返事のかわりに大きなため息をついた。

 そしてしぶしぶといった感じで立ち上がると玉座をおりる。

 后第一候補のホラム公爵のところへいき、公爵に断りを入れて、
 公爵の隣に立っていた令嬢をダンスに誘った。

 セヴェリがホラム公爵令嬢の手を取ると、広間にざわめきが広がる。


   「やはり、選ばれるのはホラム殿のところか」


 セヴェリがダンスを終えると、グリール伯爵が第二候補である自分の娘
 をつれて近寄ってきた。

 二言三言言葉を交わし、セヴェリはグリール伯爵令嬢の手をとる。

 二人が踊りだしたのを見て、また広間にひそひそと話す声が広がった。

 そんなことを、何回か繰り返し、さすがに疲れをおぼえたセヴェリは
 玉座に戻ると、再び、深いため息をつく。

 すぐにパルヴォが近づいてきて言った。
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