国王陛下の独占愛

 今晩は夜会が開かれているし、ここのところずっと呼ばれなかったのに
 急な呼び出しをうけて、ソリはセヴェリの待つ部屋へむかった。

 セヴェリに会うのは、苦しい。

 でも、会えないのもまた苦しかった。

 落ち着かない気持ちで扉を開くと、そこには夜会のための正装をした
 セヴェリがいた。

 金の刺繍が施された濃紺の衣装は、セヴェリの瞳の色によくあっていて、
 いつもに増して、セヴェリを凛々しくみせている。

 その姿に胸がどきんとして、ソリは目を伏せた。

 セヴェリが国王だろうとなんだろうと、自分はセヴェリに惹かて
 いる。

 でもそれは、決して表に出してはいけないものだ。

 ”冗談だ”と言われた時の気持ちが蘇ってきて、ソリはきゅと唇を噛むと
 顔をあげた。

 セヴェリを見て、彼がとても疲れてみえることに気づいたソリは


   「どこが、具合が悪くなられたのですか?」

 と聞いた。


   「そうではない」


 セヴェリの返事を聞いたソリは、セヴェリに近づくと、そっとセヴェリの額に
 手を置いた。

 熱はない、でもこめかみの脈が強い......。

 「疲れをとり、気を通すお茶をいれましょう」

      
        
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