国王陛下の独占愛

 ソリの煎れたお茶が身体の中に染み渡り、不快だった気持ちが
 霧が晴れるようになくなっていく。

 ソリから離れて気持ちを吹っ切るつもりだったのに、反対にソリが
 いないと、ソリの煎れるお茶を飲まないと、自分がどんなに不安定に
 なるかわかっただけだとセヴェリは思った。

 国王としての自分の立場、お后問題、ソリへの想い、ソリとの将来。

 それらはどうやっても上手くかみあわず、まるで難解なパズルを前に
 しているようだ。


   「目の前にあるのは、バラバラのパズルのピースだ。
    しかし、ピースはうまくはまらない。」

   「パズルのピースですか?」

   「そうだ」


 セヴェリのつぶやきに、しばし考え、ソリがゆっくりと口をひらく。


   「目の前のピース以外のピースが必要なのではありませんか」

   「それ以外のピース?」

   「はい、目の前のピースを当てはめようとしても上手くいかない
    のであれば、無理をせず、合うピースをさがしだせばよいのです」

   「......」

   「陛下の求められるピースは、きっとどこかにあるはずです」

   「私がそれを探し出せると思うか」

   「はい、陛下ならきっとそれができるでしょう」


 それは気休めの言葉だとも言えるが、ソリの言葉で語られると
 セヴェリには、いつかそれが本当になるような気がした。

 そうだ、焦らずともソリは今、目の前にいる。

 セヴェリは大きく息を吸った。

 ソリはいつも、私の近くにいる、誰よりも近くに......。
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