恋してセンセイ。
誰も祝福しないまま、あたしは産まれた。
そしてある日、見てしまった。
母がこの家に戻って来て、夕食の準備ができたと伝えに行こうと書斎を訪ねた時、母は泣いていた。
ある1枚の写真を眺めながら、必死に涙をこらえるように泣いていたんだ。
その時あたしは思った。
きっとあの写真は一度も会ったことのないお父さんの写真かもしれない。
離婚していたと思っていたが、母が流した涙にはもっと違う理由があるような気がする。
あたしが生まれたことと関係があるのかもしれない。
今までなんとも思っていなかった父親に
初めて会いたいとその時思った。